知的財産推進計画2004 私的録音録画補償金制度の項目について


第4章 9.ii) 私的録音録画補償金制度の項目についての意見です。

私的録音録画補償金制度については、出来れば撤廃することが望ましいと考えます。
ましてや、現状以上のメディアに適用を拡大することには反対です。

(9)権利者へ利益が還元されるための基盤を整備する、の項目で、2)権利の付与等により保護を行うとあります。
ii) 私的録音録画補償金制度の項目で、「音楽CD複製機能を備えたパソコンや技術的保護手段を備えたCDなど多様なデジタル録音・録画のための機器・媒体が商品化されている状況を踏まえ、」とあります。

まず、技術的保護手段を備えたCD、所謂コピーコントロールディスクは、音楽CDとしては工業規格からわざと逸脱した欠陥品であり、しばしば再生の不具合や再生機の故障があることを指摘させていただきます。
コピーコントロールディスクをコピーして聴く場合には、こうした不具合が解消されることも申し添えます。
また、正確には著作権法で保護された「技術的保護手段」ではなく、アクセスコントロールであるということです。
つまり、法的には個人がコピーコントロールディスクをコピーしたところで何も問題はないということです。

このような製品がなぜ販売されるのか、一消費者として全く理解に苦しみます。
私的コピーを規制することに何かメリットがあるでしょうか。

最近、パソコンのハードディスク等にも課金するという話があると聞いています。
パソコンに音楽をコピーして楽しむことが問題になっているようですが、納得のいかない話です。

まず何より、音楽コピーの為に使用すると決まってないものに対して課金するのは筋が通らないと考えます。
加えて、私的録音録画補償金制度それ自体の主旨について納得できません。
著作権法では、私的に複製して個人で楽しむ場合には規制がありません。
にも関わらず、私的に録音して楽しむ場合に補償金を徴収されています。
何を根拠に徴収されているのでしょう。
違法コピーによって生じると「予想される被害」を埋め合わせる為に徴収されているのでしょうか。

コピーコントロールディスクは、違法コピーによって音楽業界が被害を受けていると予想し、導入されました。
しかし、その結果、売り上げが改善することはなく、徒に音楽業界と著作権に対する不審を招いただけでした。
売り上げは低下しています。

「予想される被害」に左右される形で制度を改変することは、問題だと考えます。
ハードディスクへの課金はコピーコントロールディスクほどの害悪はないとしても、著作権というものに対する考え方の現れとして、そういったものは認めるべきではないと感じるのです。

被害予想に基づいて課金制度が出来るのが「知的財産」ということになれば、権利者は常に被害を予想して権利を制度化しようと考えるようになるでしょう。
例え実害があるかどうか判断が難しい場合でも、被害予想によって権利の創出、強化を求めようとするようになるでしょう。
それが如実に現れたのが2004年の輸入権法制化でした。
音楽業界はほとんど根拠がない資料を国会に提出し、権利の強化を図ったのです。
そういったことがまかり通るのも、予想される被害によって権利を得るのが当然と考えるような体質が業界にあるからです。