TEAC VRDS-25Xs/2

とりあえずセッティング

とりあえずセッティングして出た音は、DP-5090とはやはり違いました。
よりくっきりして情報量が多い音です。
定価で4倍以上の開きがあるのですから、違ってくれないと困ります。
とりあえず一安心。

いろんなソースを取っ替え引っ替え聴いてみます。
そのうちに、いまいち、と思うソースがあるのに気付きました。
一部のジャズやクラシックで、どうも音色がきつすぎるのです。
DP-5090のほうがよく聞こえるソースもあります。
どうもおかしい。
そうだ、自衛隊を聴いてみよう。

「自衛隊演習」は故長岡鉄男氏が監修したもので、環境音録音のソースです。
タイトル通り、自衛隊の演習を生録音したものがCDになっているのです。
音の再生能力をみるためのチェックソースに使えます。

普通に再生されれば、自衛隊の飛行機が頭上を通過していくのが音で再生されます。
DP-5090でも再生できていました。これに関しては気にもとめていなかったのですが、、
ところが、、戦闘機が上空を飛びません。
地平線上を通過していきます。、、やっば〜、空を飛ばないよ。
これは、かなりまずい状況なのでは。

写真を見ていただければ、かなりラックがしょぼいというのがお分かりかと思います。
当時はほとんど対策らしい対策はせず、スチールフレームに合板を組んだだけでした。
これに、25Xs付属のインシュレーターで設置してました。
コンポの上に積み重ねるよりはちょっとはマシ、程度なのかな。

応急処置でもいいからなんとかならないかな。
付属インシュレーターを、上下逆にしてみます。、、変わりなし。
困ったときは振動を整える作用があるJ1青を付属インシュレーターの下に、、。
飛んだ。
なんとか、戦闘機が上空に浮かびました。
しっかし、これは、、。まだまだこんなものじゃ済まないだろうな、、。
当面、DP-5090と併用していきますか。。。

御影石

しばらくの間、どうしたものかと思案に暮れていました。
ラック、なんだけど、何がいいんだろう?

この頃は、システムの大幅な変更がありました。
まずCDプレーヤー、続いて、アンプです。
DENONのPMA-2000mk2から、SharpのSM-SX100に。大幅なグレードアップです。
膨らんでいた低音が引き締まって、高域もクリアになりました。
こうなってくると、CDプレーヤーのほうをなんとかしたいという気持ちも強まってきます。
本来、もっと能力があるプレーヤーなんですから。

取りあえず、石を敷いてみちゃえ。

御影石をコンポの下に敷くというのは最近よく使われる手法です。
御影石には独特のガラス質の音色がありますが、これを抑えられたら安価で使える素材です。
どうやったらいいんだろう。

ホームセンターには黒色の御影石を売っていますが、しかし大きさが合わない。
何件か石材店に訊いてみたら、加工も受け付ける、というところがありました。
持ち込んで適度な長さに切断してもらいました。
これで使えます。

石材店によっては、注文通りに石材を切り出し加工してくれるようです。
ちなみに現在4425mk2のウェイトに使っている御影石ボードは、最初から石材店で作ってもらいました。
2枚で8000円でした。

まずは、ラックに使っている合板を御影石に替えてみました。
付属インシュレーター等は使わず、25Xsのスパイク脚で御影石に直置きしました。
激変です。
というか、何これ〜石の音がする〜(w
ガラスを割ったときのような音が再生音にくっついて聞こえます。
これはいかん、石の対策をしないと。
ラックにMDF板を置いてその上に御影石を置いたら、かなり石の音は減りました。
合板+J1青+付属インシュレーターよりも情報量が増え、クリアな音になりました。
この状態でインシュレーターをかますと良くないようなので直置きにしました。

しかし、まだ石の音が残っています。
筐体に伝わる振動、、、筐体の対策をしたらなんとかなるかな?
天板の上に、残っていた御影石の切れ端(約3kg)をタオルを介して置いてみました。

これ、かなりいいんじゃないの?
また、激変です。
すっかり石の音はとれて、すごく素直な感じの音が出るようになりました。
タオルを他の素材に換えると、音が変わります。
ゴム、麻、セーム革、それぞれ違います。
最終的に、0.5mm厚ゴムシートを使うことにしました。堅実で芯のある音になります。

綿のタオルは、柔らかく明るい開放的な感じ。
麻は、少し乾いてガサガサした感じになります。
セーム革は、特筆すべき瑞々しい音になります。森林浴という感じで湿り気があります。
ただの紙だと、石の音が残ってしまうようでした。
直接に何も介さず、御影石片を天板に置いたら、見事に石の音がします。

天板に重りを置くというのは故長岡氏もとっていた手法で、雑誌で効果があると書かれていました。
長岡氏のリスニングルームは「方舟」と名付けられたそれは堅牢なものです。
それでも筐体の振動対策があった方がいいのですね。
おそらく回転するディスクの微弱な振動にも敏感に反応するのでしょう。
CDプレーヤーというよりむしろ、レコードプレーヤーのようなデリケートさを持った機械です。

あまりにも音が変わるので、それだけで右往左往していた時期でした。
非常に面白かったとも言えます。
そして、僕が気付かないうちに全く別のところで音質の変化が起きていたのでした。

インターコネクトケーブル

当初、VRDS-25XsとSM-SX100は、バランスケーブル(以下XLR)で繋いでいました。
オルトフォンの8Nというやつで、まぁまぁ値が張るものです。

実際、聴いてみて、アンバランスケーブル(以下RCA)では、生命感がなくざらついた音。
XLRのほうが、滑らかで聞きやすい音、という印象でした。
25XsもSX100の方も、XLRのほうがいいという意見が当時は多かったと思います。

某掲示板で、25Xsの出力はどういう方式なのかと話題になりました。
出力回路がバランス方式だったらXLR出力がいい。
アンバランス方式だったら、逆にRCA出力がいい。はずだ。
というのです。

TEACにメールで問い合わせてみました。
TEACはユーザーの質問などのアフターケアに誠実に対応してくれます。
売りっぱなしの企業も珍しくない中で、かなり信頼できる企業だと思います。
返事は意外にも、
25Xsの出力は、アンバランスからオペアンプでバランスを作っている、
というものでした。
出力回路は、基本的にアンバランス回路だったわけです。

どうしてRCAよりXLRのほうがいいんだろう、、、
と思いながら、何の気なしに付けっぱなしになっていたXLRを外し、RCAに替えてみました。

あれ、、、そんなはずはない。

SM-SX100は、XLR/RCA入力をセレクターで切り替えることが出来ます。
両方繋いで、セレクターで切り替えながら聴き比べてみました。

、、、RCA、XLRを追い越しちゃった。。。

僅かですが、情報量、鮮度、滑らかさと勢い、SN、全てがRCAのほうがよくなっていました。
XLRは、こうなるとかすかにベールをかぶったような感じに聞こえます。

VRDS-25Xsという機械は使っていて全く驚きの連続だったのですが、この時はしばらく自分の耳を信じられませんでした。
プラセボ効果とか、思い込むとそう聞こえる、というのは誰でもあるといいます。
自分がそうではないとなぜいえる?
しばらくの期間、両方使いながら比較し、結論しました。
やっぱり、少なくともうちではRCAのほうがいいんだ。世間の評価はどうであれ。

なんでこんなことになったのか考えてみると、、
結局、RCAのほうが忠実に機械のコンディションを反映していたのだろう、と思います
XLRのほうはオペアンプを信号が通過するぶん、音の情報が変化/劣化する。
それが、逆に機械のコンディションの悪さを隠ぺいしていた。
しかし、セッティングが改善し機械自体のコンディションが上がった。
それにつれてRCAは大きく改善し、XLRの改善の度合いを追い抜いた。
ということでしょうか。

この頃から、僕はオーディオ機器に関する世評というのを、あんまり気にしなくなりました。
雑誌のオーディオ評論からネット上の評価まで状況も聴く人も違うのです。
正確な情報といえるものは、既に確定している物理的な理論と、測定値と、慎重な実験によって裏打ちされたものしかありません。しかもそれらが音にどう影響するかとなると、絶対正しいということはないと思うようになりました。

あと、自分の耳と経験でしょうか。これはちょっと危なっかしいですが。
しかし、最終的には、ここに戻るしかないと思います。
オーディオは主観の趣味ですから「他人はよく聴こえないといっても、自分にはよく聴こえるんだから仕方ないよなぁ。自分にしか通用しないことってあるのかもな」という割り切りも必要だったりするかもしれません。

3(使いこなしの話/2)につづく

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