御影石は安価でコストパフォーマンスが高い素材として、オーディオボードに利用されています。
今回、スピーカースタンドの下に初めて利用しましたので、レポートしてみます。
2004年の春、引っ越しました。
床がコンクリートからフローリングに変わり、オーディオ環境としては、大きく悪化しました。
とりあえずセッティングして音出し。
以前のセッティングを引き継ぎ、床にMDF板を敷いて、その上にスピーカースタンドを置いてみました。
予測していたことではありましたが、あまりにも予測どおりでげんなり。
まったく、しっかりした床があるということはオーディオ的には凄く恵まれていることなんだと痛感しました。
音は膨らみ濁り、音像、音場、空間表現はモヤがかかったようで見通しが悪くなりました。
床下に低音が締まりなく響いているのが分かります。
ボリュームを上げるのがとても苦痛。
小音量再生派になりました
対策が必要だとは思いました。
しかし、当時は折しもコピーコントロール、著作権法改正の問題で、かなり騒がしくなっていました。
音質についてゆとりを持って考える気分じゃなかったというのが正直なところです。
それが最近、ゆとりが出てきた。
もうちょっとマトモな音にしてやらないとコンポが泣くわい、と思い始めた。
1年以上のブランクがありますがオーディオの再開です。
スピーカーの上に置いているウェイト用の御影石ボードは、地元の石材店に加工をお願いしたものです。
最初は今回もそこにお願いしようと思っていたんだけど、、、めんどい、、。
1時間足らずだけどクルマを飛ばして石材店まで行くのも面倒だし、作ってもらったボードを引き取りにいくのも面倒。
多分、僕のロードスターには載りません。マンションの自室に運ぶのも、、。
搬送してもらえばいいかもしれないけど、搬送料がかかるし。
多少は安くなるかもしれないけど、、。
ネットショップというのは手軽ですね。
CDを買うのにさんざんamazonを利用したので、ネットで買うのが身に付いてしまって。
そういうわけで、今回は石匠運慶のネットショップを利用しました。
以下、リンク。
石匠運慶 オーディオボード
迷ったのは、厚さを3cmにするか5cmにするかです。
厚い方が音質には有利です。薄いと御影石の癖が現れやすいと言われています。
しかし、厚くなると重くなります。
今回床にボードを使用するにあたって、ある程度のサイズが必要ではないかと考えていました。
スピーカースタンドの底板のサイズが40×30cm。
ボードがスタンドと同じサイズだと、何かの拍子にずれた時に倒れやすいので危険かも。
そこで、ボードは50×50cm程度が適当と考えました。
そのサイズだと厚さ3cmでも24kgになってしまいます。5cmだと39kg。
僕はこういった場合、音質よりもユーザビリティを重視する傾向があります。
思えばスピーカーの4425mk2を選んだのも、30kgを切る重さが大きなポイントでした。
一人でセッティングできますから。
このことって僕の中では凄く重要なことなんですね。
というわけで、注文です。
届いた石は、ビニールのクッションに包まれ、大きな木枠に括り着けられていました。
壊れ物の表示が付いています。
梱包をほどくと、きれいな黒色の石が出てきました。
今にして思えば、これを写真に撮っておけば良かったな。
さて、まずこんな感じにしてみました。
スピーカー |
スピーカースタンド(MST-40H) |
スタンド付属スパイク |
アクリル板(厚さ0.5mm) |
御影石ボード |
MDF板(厚さ5mm) |
床 |
![]() こんな感じ。 |
![]() 拡大したらこんな感じ。 |
なんで御影石の上にアクリル板なのか。
最近はアナログプレーヤーでアクリルを使った製品が多く売られています。
悪さはしないんじゃないかな、という考え。
安くあげれるならあげようという考えです。手元のインシュレーターでは足りないし、、。
なんで床の上にMDFなのか。
元々、床自体に粘着性が高くなるような表面処理がなされた弾力性のあるシートが貼られています。
床に直に御影石ボードを置くと、上からかかる圧力で床に密着して簡単に取れなくなりそうで、後々かなり面倒なのではないか、と考えました。
小さなインシュレーターや薄手のゴムシート等もそうなる可能性がある。
そこでMDFを敷くことにしました。
さて、音を出してみました。
クリアな音です。
セッティング変更以前のモヤがかかった感じは、かなり解消されました。
音が前に出てきて、勢いがあります。
低音もかなり引き締まってきました。
とりあえず、音質は大きく改善しました。
以前よりかなりボリュームを上げても大丈夫です。
でも、何かが違うという感じ。
落ち着かない。
音が前に出て来すぎる感じで、わざとらしい。
金属的というか、荒れるというか、暴れるというか、、。
特にオーケストラの金管楽器はうるさくて聴くに堪えない感じ。
音場表現は、音の勢いばかり強くて逆に平面的になる感じです。
オーケストラはスピーカーの後方に整然と定位して欲しいのですが、むしろバラバラに前に出て自己主張する。
小音量であればまだマシですが、ボリュームを上げるとはっきり目立ってくる。
すごく違和感があります。
これは、御影石の癖なんだろうか、、。
単純に金属的な感じとか石の響きが乗るというより、素直な出方をしていないという感じです。
何かがひどく歪んでいるという感触。
位相が乱れるという言葉がありますが、そのイメージがぴったり。
実際、位相の乱れた音がどんなものなのかは知らないですが、、。
前言撤回。
これは、ボリューム上げられません。
不自然すぎて聴いていられない。
主な試聴ソースを挙げます。
取りあえず、手近にあったというだけでこれを聴きました。しかし、これの聴こえ方が最低だった、、。
まさか録音が悪いのか、とまで疑ってしまった。
とにかく不快で、コンポの不調のせいでここまで聴きづらい音になるのかと、改めて思いました。
戦闘機が上空を飛ぶ筈のソース。これもギリギリ飛んでるという感じ。きびしい。
僕が持ってるのはリマスター前のです。上手く再生できた時には、他では聴けない神懸かりな音が聴けると思っています、、。
上手く再生してない時はダルな感じ、生気がない感じに聴こえることが多い。
しかし、、、今回は何か違いました。なんか変な感じ。浮き足立ってまとまりがなく表面的な感じに聴こえました。
なぜか昔から試聴に使っています。使い慣れてるし、音の出方とか見やすいような気がする。
これも妙に落ち着かなくて、変な感じでした。
どこから手を付けたもんか、、。
まず、アクリル板が悪さをしてるような気がするので止める。
付属スパイクを御影石に直置きというのは考えられないので、インシュレーターを使用する。
取りあえず使えそうな手元のインシュレーターは、J1Projectの青と黒コーン、リプラスの石英ガラス。
石英は、、、トゥイーター3kg、天板ボード8kg、スピーカー26kg、スピーカースタンド21kg、あわせて60kg弱。
ちょっと60kgの下には使いたくない。もっとサイズが大きいのがあれば別かもしれないですが。
となると、J1青か、J1黒。
青は厚さが数mmだから付属スパイクの下に使うことになる。
やや柔らかい素材で出来ているものをスパイクの下に持ってくるのはちょっと心配。
だったら、黒か。2cmほど高さがある。
それに以前、青と黒をVRDSに使った時の感触では、黒の方が振動を整える力は強いように思いました。
VRDSではちょっと合わなかったけれど、ここで使ってみよう。
この時点での手持ちは4個だけで、スピーカー2つを支えるには足りません。
ネットショップに注文しました。
J1黒コーン(SP35S)は、円錐形のスパイク型インシュレーターです。
ICPコンポジットというハード系とソフト系の複合素材で作られていて、共振しにくくなっているとのこと。
以下、メーカーサイトにリンク。
the j1 project ICP COMPOSIT
セッティングは、スパイクの先端を下に、前2後1の3点支持にしました。
4点支持だとわずかにガタが生じたので。
ただ、耐荷重が分からないんだよね、、。
多分大丈夫だろう、、。
スピーカースタンドのMST-40Hの付属スパイクはネジになっていて、六角レンチ1本で高さを微調整できます。
スタンドを上げて、SP35Sを下に挿入し、スタンドを下げるという処理が簡単にできます。
スピーカー |
スピーカースタンド(MST-40H) |
J1黒コーン(SP35S) |
御影石ボード |
MDF板(厚さ5mm) |
床 |
ところで、部屋の中でのスピーカーのセッティング位置というのは、意外に重要です。
引っ越す前は、位置決め専用にスピーカーを載せる台車を自作したりしてやってました。
これは、なかなか大変な作業でした。
引っ越してからは、厳密な位置決めはしていませんでした。
台車も処分してしまってたし、暇もなかった。
SP35Sのコーンの先端は、接触面を傷つけないように丸く作られています。
鏡面研磨された御影石の表面を傷つけずに滑らせることが出来ます。
今回、スピーカーを押すとSP35Sとスタンドが一体化して御影石ボードの上を滑り、簡単に移動できることが分かりました。
そこでセッティング位置の微調整も行いました。
やや外側後方に、やや内向きに。
というか、こんなに簡単に滑るようでいいのか?
地震が心配、、、横揺れが来たら、、(汗。
御影石ボード、もう1ランク大きいのにしといた方がよかったか、、。
取りあえず、音を聴いてみましょう、、、これは、なかなかいけそうです。
音が一気に整理された感じで、落ち着いて聴くことが出来ます。
スムーズに流れ出てきて、自然です。
以前あった曰く言い難い違和感は、解消しています。
オーケストラもスピーカーの後方に定位し、奥行きが出てきました。
音の粒子が木目細かくなって、透明感が増した感じ。
音像と音像の間の、抜けるべきところがきれいに抜けて、空間の見通しがいい。
低音もしっかり制動されて、アタック感が気持ちよく表現されるようになりました。
立ち上がりがよく、スムーズに減衰する感じです。
これは、かなり引っ越し以前のリスニングルームに近づいてきてるかも。
正直、ここまで変わるとは思ってなかった、、。
J1黒、正直、見直しました。
ただ、、、若干腰が高いかな、、、贅沢言うなら。
しかし、当面これでいけると思う。
もうひとつ不満なのは、ワルツフォーデビィの地下鉄が聴こえないこと。
引っ越してから聴こえなくなりました。
今後の目標かな。
2005.08.09. 現在
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